Takuya A's Beer Collection
Takuya A's Beer Collection

一日の終わりに、寛ぎながらグラス片手にビールを嗜む。
今日も一日お疲れさまでした、無事平和に過ごせたことに感謝する。

書籍

達磨 信 著『世界に響くハードシェーク: バーテンダー上田和男の50年』


2022/11/23

読了。銀座 “TENDER” 上田和男さんの50年に渡るバーテンダーとしての歩み、国内外のコンペで優勝/入賞したオリジナルカクテルの制作背景とレシピ等が収録。

1杯のカクテルに込められた想いと姿勢が読み取れ、感銘を受ける内容だった🍸🙏😌

以下、参考抜粋:

P.8
上田 和男 著『カクテルテクニック 改訂増補』 @amazon

P.15
マンハッタンで上田のカクテルは賞賛されるだろう、との自信があった。ニューヨーカーは、繊細な日本人の仕事や味わいに驚くだろうと思っていた。実際その通りとなった。

P.17
「マティーニ」の感想は「これがジン・マティーニかい、嘘だろう。こんなに美味しいのははじめてだ」にはじまり、「ソリッドで、クリアだ。マンハッタンでこんなジン・マティーニを飲めるのは、格式あるホテルバーか、ごく一部のベテラン・バーテンダーのいる店しかない」と評価された。

上田のバーテンダーとしての姿勢への評価は素晴らしかった。

気持ちを入れて、真剣だが、楽しみながら仕事をしている

P.38
カクテル・ガイド(北川岩三郎) / 柏林堂 / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」 

P.69
カクテルにもこころの言葉がある。上田はそう感じている。古典的なスタンダードカクテルをひも解くとき、原点となった時代の創案者のこころの言葉、呟きを聞いてあげるのもバーテンダーの仕事ではなかろうか。

P.74
上田 和男 著『上田和男のカクテルノート』@amazon

P.80
作家宮本輝の小説『春の夢」にある文章の要約だといって、次のように記した。

“人間は勇気はあるけれど辛抱が足らない者 希望だけで勇気のない者 勇気も希望も誰にも負けないくらい持っているくせにすぐにあきらめてしまう者 辛抱ばかりで人生何も挑戦しないまま終わってしまう者
勇気 希望 忍耐 この3つを抱き続けた者のみが自分の山を登りきることができる そしてこの3つを兼ね備えている人間ほど怖い者はいない”

P.99
しかも上田はフィニッシュまで気を遣っている。
「歌舞伎の大見得。どうだ、といった演出効果もある」

P.102
「酒の強さそのものの特製を出すことだけではない。しっかりと混ぜることによりプラスアルファの奥深さを生み出し、ミックスされた美味しさをつくり出す技術だと思います」

P.104
タンブラーに氷を入れ、ジンを注ぐ。次にトニックウォーターを注げばでき上がる。しかしながらこのトニックウォーターをどう注ぐかが重要である。
氷の上に注ぎ込むのではなく、グラスと氷の隙間をバースプーンでつくり、その間を利用してトニックウォーターを注ぎ込む。ジンに直接注ぎ込むようにする。

「炭酸ガスを壊さない。いじらない。ステアもしない。トニックウォーターをいじるのは駄目です。炭酸ガスが壊れると、ただ甘いだけの味わいになってしまう」

上田はこれが秘訣だという。

P.132
『M-30レイン』の意味と定義(全文) – 辞書辞典無料検索JLogos 
BAR信天翁 カクテル エム30レイン 

P.142
ハードシェークの “レジェンド” はこれまでの到達点に過ぎない。

「想いつづけ、願いつづけているとね、なんだか道が開けるんだよな。カクテル飲んでいるあなたの前で、マンハッタンで勝負してみたいって言いつづけていたら、ほら、連れて行ってくれたじゃない。俺って、ラッキーな男なんだよ」

上田氏はいつもこの調子である。
人生、他力本願。
しみじみとそう思う。でも、だ。
想い、願い、前にも進もうとしない人間には他力は引き寄せられない。上田氏はわたしにこう教えてくれているような気がする。

これからは上田氏のカクテルをもっと大事に飲もうと思う。『テンダー』開業間もなくのあの夜の「マティーニ」のように、何かがわかるようになる気がする。新しい発見があるような気がする。

達磨 信 著『世界に響くハードシェーク: バーテンダー上田和男の50年』https://amzn.to/3OyGgBp

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