Takuya A's Beer Collection
Takuya A's Beer Collection

一日の終わりに、寛ぎながらグラス片手にビールを嗜む。
今日も一日お疲れさまでした、無事平和に過ごせたことに感謝する。

書籍

坂口謹一郎 著『坂口謹一郎酒学集成〈5〉醗酵と酒学』


2023/1/23

読了。発酵醸造学の権威である著者の晩年の講演録が収録。

酒・麹・味噌・醤油・旨味成分等の研究の数々、発酵醸造/微生物学者としての歩み、酒造だけでなく発酵食品全般に精通した深い知識造詣が読み取れる内容だった🙏😌🍶

以下参考抜粋:

P.8
オー・ド・ヴィー(命の水)
Eau de Vie – winekatushin2013_8_15.pdf 

P.9
ソーマ – Wikipedia 
ハオマ – Wikipedia 

P.9-10
鈴木大拙先生の著書にもこのような御意見が見えています。先生によりますと、飲酒は、人間が日常生活のそくばくを絶って、神の境界に通ずる「一番手っ取り早い道」であるなどと説かれています。

鈴木大拙 – Wikipedia 

P.10-11
どうか時にはお酒を飲まれて、神に通じていただきたいものであります。
ギリシャやローマまで下がってまいりますと、ネクタールなどという不老不死の飲み物が出てまいります。ディオソニスとかバッカスとかいうお酒の神さまが出て、時代時代の陶酔の在り方を教えてくれているようであります。ドイツへゆくと、ガンブリヌスというビールの神さまがあります。これなどは末世澆季[ぎょうき]の俗界の神さまで、つまり、ブドウ酒のようなうまい酒を飲んだこともない、北の国のビール党が、それを保護した中世の坊さんかなにかを、神と崇めるというようなことであったようであります。

要するに、酒というものは、大昔には神であり、芸術であり、最高の学でもあったものであります。

P.15-16
新潟県の川上善兵衛という方が、ご自身の全財産を注ぎ込んで、数千種というブドウの交配を行って、その中から辛うじて日本の風土に適する数種の赤色ブドウの種類を造り出されたのが大正の末から昭和の初めでありまして、これがせめてもの日本でできた赤ワイン用ブドウといえるのであります。

川上善兵衛 – Wikipedia 

P.18
マレーシアやインドネシアの古い酒のアラック、これは中国や日本の焼酎の先祖のようでありますが、これを米と麹とで造る時に、同時に椰子酒、つまり椰子の汁を加えることが秘訣になっている。

アラック – Wikipedia 

P.22
要するに、酒を以て酒を醸すのであります。酒を造るのに使う水のかわりに、酒を使うのであります。これを繰り返してゆけば、酒のアルコールは、だんだん濃くなるのは当然であります。(中略)

この方法を中国の文字で醞と書かれている。日本ではこれを「しおり」と訓ずるらしい。しおるは搾るだという人もあります。酒のもろみを搾って酒にすることだという。これでゆくと、八岐の大蛇に飲ませた酒は、八塩折[やしおり]の酒というわけですから濃いわけで、いかに大蛇でも酔うのは当然であります。

ヤマタノオロチ – Wikipedia 
八塩折之酒~八岐大蛇伝説に登場する日本で最初に造られた酒~ | 日本酒と酒器のサイエンス 
八塩折|國暉酒造株式会社 

P.24
日本の酒で西洋人が一番おどろいたのは、火持酒つまり火入れで持たせるという方法であります。(中略)
西洋では一八六二年にパスツールがワインの防腐の研究の結果発表したので、パスツーリゼーションとして知られている低温殺菌法と同じ方法であります。これは日本では室町時代の文献にすでに現れていますから、パスツールに先立つこと約三〇〇年近くであります。

灰持酒 – Wikipedia 
延喜式 – Wikipedia 
東肥赤酒について | 瑞鷹株式会社 

P.69
例えば銘醸地の一つとして灘地方を例にとって見ても、各メーカーの酒には、それぞれ風味の上の、異なったニュアンスを多少でも認めないわけには行かない。どれもこれも似たようなものという人は、まだまだ酒の修業の足りない人と思っている。

P.77
脇村 義太郎 著『趣味の価値 (岩波新書)』 @amazon

P.94
ところで醤についての最初の文献は、実は孔子の時代より六〇〇年もさかのぼる約三〇〇〇年前の周王朝初期のことを記録した『周礼』である。(中略)

当時の醤がどんなものであったか、これは『周礼』の註によると獣や鳥や魚の肉に粱麹(あわのこうじ)と塩とを雑ぜ美酒に漬けて瓶内に塗り込めること一〇〇日にして成るというようなものであった。この頃はまだ大豆を使わず原料は専ら肉類だったからこれは肉醤(ししびしお)つまり「しおから」である。麹の糖分のほかにその酵素の作用で肉が溶けてよい味が出たところに美酒も混ざっているから一種の肉の酒のようなもので、さぞかしおいしかったに相違ない。三〇〇〇年の味である。

周礼 – Wikipedia 
しょうゆの歴史を紐解く | キッコーマン 

P.113
同じアミノ酸のグルタミン酸がイノシン酸と共存するとうまみの強さが三〇乃至五〇倍にも強化されるということである。これは誠に興味深い発見である。昔からわが国の料理ではかつおぶしと昆布のだしを一しょに使うことの理由は単なる両社の味の一足す一は二ではなく、それが三〇にも五〇にもなるということが初めて知られた。

うま味の成分 | 日本うま味調味料協会 

P.127
私は今年で八三歳でありますが、八〇年前からずっと日本の食物を食べてきておるわけでありまして、これは現在長寿といわれるような人たちはみんなそうだと思うのであります。日本の食事をしてきて長寿になったのでありますから、これほど力強い実験結果はないだろうと思うのでございます。
つまり日本人の食生活は、昔から米と、魚と、大豆と、みそと、しょう油と、お酒で来ているわけですから。

P.178
日本酒の「うま味」の主成分はコハク酸という酸であって、これがまた貝類の「うま味」でもあるといわれている。それゆえ近頃はこれを加えた貝類の缶詰もあるとのことである。

日本酒の「旨味」とは? 【専門用語を知って、日本酒をもっと楽しく!】 | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」

P.185-188
第二回国際酒文化学術検討会の開催を祝って
(本文)
一九九四年四月一二日東京都目黒区の寓居にて、これを浙江工業大学客座教授菅間誠之助博士に託す——坂口謹一郎。東京大学名誉教授、日本国学士委員会員、法国農学院会員。九七歳。

重要 第8回 国際酒文化学術検討会の日程・参加申込等詳細について | 公益財団法人 日本醸造協会 
第4回 国際酒文化学術研討会簡介 – J-Stage _pdf 
国際酒文化学術検討会(中国)で寺本教授が講演 | 崇城大学 

P.214
泥の中から何かをつかんで立ち上がらねばならぬ、実物を実験によってつかむことから出発するというのが、われわれが鍛えられた研究の行き方であります。かの有名な道元禅師が成仏のモットーとして強調された、「只管打座」(しかんたざ)という言葉が、この泥まみれでモノを求める努力を表す、非常に適切な唯一の言葉であると感ずるのであります。

只管打坐(しかんたざ)の意味・使い方 – 四字熟語一覧 – goo辞書 
「只管打坐」の意味とは?語源となる教え『正法眼蔵』も解説 | TRANS.Biz 

P.259
高橋偵造 – Wikipedia 
研究室の歴史 – 醗酵学研究室|東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 

P.326
以上麹菌と私との研究上のおつきあいを思い出すままに述べたわけであるが、研究の場をはなれて久しい昨今になっても、中国の麹粱の問題などにこだわっているところを見ると、何とかの一つおぼえなどといって、これは一生涯のおつき合いともいえる。禅宗の言葉に「愛用して尽きず」ということがあるが、全くその通りである。

P.338
研究者・組織者としての坂口先生の足跡をざっとだどってみたが、先生はまた仏教者でおられ仏典に親しみ、単なる科学者の愛好の域を超えた東西の古典への造詣、絵画・陶芸等々にも深い鑑賞眼を示され、文化界の方々とも広いご交友があった。また一九七五年には御歌会始の儀の召人をつとめるなどすべてに鋭い感性をお持ちであった。ご専門の学問には深い洞察力を具え、常に科学の将来を見据えて大きな枠組みを樹てられた。

私は、このような高い見識と広い視野を持った師にめぐり遇い、その指導をうけることができたことに限りない感謝の念を捧げる。

田村學造 – Wikipedia

坂口謹一郎 著『坂口謹一郎酒学集成〈5〉醗酵と酒学』https://amzn.to/3D8PVdv

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