佐々木 久子 著『酒に生きるおやっさん』

2022/2/12
読了。雑誌『酒』編集長を務めた著者が日本全国の有名蔵元を行脚、杜氏/社長との対談を纏めている。1989年刊行。酒造りの最高責任者である “杜氏” の考え方と価値観、良い酒を造る情熱と信念が読み取れ大変興味深い内容だった????
P.64
“このくにのうまさけのみちにたてましゝ たかきいさをし わすれさらめや”
P.107
「極上 菊正宗」を、唇が斬れそうな薄い磁器の盃にたっぷりとついで、一口に飲み干す。つんと脳天にくる芳香が鼻孔を抜ける頃に、あま、から、ピンと勢いよくはねた、きりりとしたゴク味がノドを越してゆく。久方ぶりに味わう辛口の日本酒である。まさしく、これが灘の生一本なのだ。しばし絶句するような感動であった。
P.191
人柄がそのまま酒質としてでる。「酒は人なり」なのだ。蔵の中で息づいている麹や醪に、人間が泊まりこみで寝ずの作業をしてやらなければ、人の心を感動させる酒にはなってくれない。だからこそ、酒蔵に働く人たちを大事にしなければならない。
P.203
十一月一日に蔵に入って、三月半ばに甑を倒すまで、休みなしに働く蔵人たち。「酒の一滴は血の一滴に等しいと思え」と、蔵人に言いつづけてきた青木杜氏は、酒を飲む人がいとも簡単に、酒を盃洗や吸物椀に捨てるのを見ると、カアッと血が頭に上り、張り倒したくなるというのだ。捨てるくらいなら飲まないでほしい、とも言った。
P.278
古来より、百薬の長-生命の水-智慧の水と讃えられているお酒が、私たちに心豊かな食生活をプレゼントしてくれていることに私は深い感謝を捧げているものです。
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